このようにして、隔てなくお会い申すことができるならば、嬉しいのですが、母宮がぴったりと付いていらっしゃるので、不躾ではないかしらと遠慮して来ましたのも辛いが、やはりだんだんと気を強くお持ちになって、いつものご座所にお戻りを……。 ひどい病状ではなく、どことなく気分がすぐれなくて、月日をお過ごしになる。 「それくらいの者に、そのような口はきかせぬぞ」 「大将殿を、笠に着ているつもりなのだろう」 などと言うのを、その大将方の供人も混じっているので、気の毒にとは思いながら、仲裁するのも面倒なので、知らない顔をする。
1大将殿に申し上げるべき事がある」とおっしゃる。 枯れた下草の中に、龍胆や撫子などが咲き出したのを折らせなさって、中将がお帰りになった後に、若君の御乳母の宰相の君に持たせて、 「草の枯れた垣根に咲き残っている撫子の花を 秋に死別れたお方の形見と思って見ています 美しさは劣ると御覧になりましょうか」 と差し上げなさった。
20あの御息所は、このようなご様子をお聞きになっても、心穏やかでない。 そうはいっても、葵夫人は源氏の君の正妻として高貴なお方であり、特別にお思い申し上げていらっしゃった方で、妊娠のおめでたいことまでが加わったご病気なので、心苦しいことだとお嘆きになって、御修法や何やかやと、源氏が自分の部屋で、多く行わせておられる。 遠き国々より、妻子を引き具しつつも参うで来なるを。
12折々につけて、管弦の御遊びなどを趣き深く、世間に評判になるほどに何度も催しあそばして、院の今のご生活も素晴らしいものである。
物欲しげに「想像力」を逞しくしたりしないで、書かれてあるとおりに、ひたすら「純真な姫君の初めての経験に対する驚きと戸惑いと羞じらい」があったのだと読むべきところです。
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