戦争が悪い、思いやりがない、助け合いをしよう、などと叫ぶことは簡単ですが、それ以上に、「火垂るの墓」に描かれたエピソードは、もともと人間に備わっているどうにもならない悲しい宿命を感じます。 作中の「僕」は又吉本人の、半自伝的要素を持つ小説で、18歳で上京してきた又吉の目を通して東京の風景や記録が綴られている。
1その後、神戸大空襲の場面に切り替わります。 そして、物語は戦時中にさかのぼり、清太の妹である節子が衰弱死する場面を山場に、清太の死までをたどっていく流れになります。
17通常は栄養失調になるとお腹が膨れ、顔がむくみといった外見的な症状が現れます。 そんな縁もあり、別所は又吉に太宰のおすすめ作品を訊いた。 虱だらけの腹巻きの中にあったドロップの缶。
でも数十年前にはこれが日常だったのよね。 そんな中、清太は父が戦争で亡くなったことを知り、気が動転していしまいます。 しかし、食料も入れることができなくなり、清太は畑の野菜泥棒や火事場泥棒などして、時には警察に捕まることもありました。
11働かなかったのも、オルガンを弾く行為に疑問を持てなかったのも、隣組に入らなかったのも、 なまじお金があるために、働いて稼ごうという気にならなかったのだと思います。
2現代に生きる私たちが彼を批判的に見てしまいがちなのは、太平洋戦争がいつ、どのように終結したのか、その結果を知っていることにもあるでしょう。
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