差し戻し控訴審で死刑判決が出された被告人に、この著者は、判決が出た翌日、面会に行った。
亡き夫は元だった。 この青年に課せられたのは、戦後の日本の民主主義が育んできたエセ・ヒューマニズムに対する痛撃だったのではないか、とも思う。
5本村さんの家族のささやかな幸せが奪い去られたことに深い悲しみを抱き、本村さんの感情の動きに共感し、被害者支援が確立していない時代に被害者支援に奮闘した警察官や検察官がいること、また葬儀へのマスコミ対応などを一挙に引き受けた本村さんの職場に尊敬を抱きつつ、ただ、やはり死刑制度や弁護人批判についてはどうしても受け入れがたかった。 担当の山口県警奥村刑事。
本村氏の身近な周囲の人たちも彼を力強く支えてくれた。 町田を常に気にかけている。 そして何よりも生とは何か、死とは何かという根源的な問題を考える機会を与えてくれた本書は、同時に人間の生きる意味や、生きることの使命は何なのか、という隠れた命題をも提起しているように思える。
3妻子を殺された深い哀しみの中、幾度となく司法の厚い壁に跳ね返され、なおも敢然と挑み続ける町田。 筆者の見方以外からも本件をもう少し知りたい。 この本を読んでそれが判ったとはいわないけれど、それでも、家族に対する愛情と彼に対する周囲の愛情が力になったことは 判る。
11一方で、刑事裁判は被害者による裁きや報復の場ではないからこそ、第三者たる裁判官が事実を認定し、判断を下す。 しかし、その言葉の裏には、常に、具体的個別的な事象がある。
8発売元:• JANコード: 4988101159260• そうだ、社会に訴える手段として、自分が命を絶とう」 本村氏の言動に不安を感じた職場の同僚は、上司に伝え、本村氏のパソコンに遺書があるのを発見。 関連作品:• 本村さんは犯人とだけではなく、様々なおかしさを正すために国や司法 やマスコミとも闘わざるを得なかった。